トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅ローゼンクランツの一貫した思想でセッティング

ローゼンクランツの一貫した思想でセッティング



 M.Hさんとのお付き合いはもうかれこれ6〜7年になります。以前に大仏とロータスをお買い求め頂いた時に頂戴したメールがありますので、それを初めにご紹介させて頂きます。



 大仏と蓮の感想


 ----- Original Message -----
 From: "M.H"
 To: <info@rosenkranz.com>
 Sent: Tuesday, March 13, 2001 11:48 PM
 Subject: 大仏と蓮の感想


 貝崎様、

 「DAIBUTSU」と「LOTUS」は、ローゼンクランツと付き合い始めてから受けた数々の衝撃の中でも、間違いなくトップ3に入るものでした。また、値段を確かめる前に買う決心をしたもののひとつでもあります。しかし、これについて詳しく語らせて頂く前に、私とローゼンクランツの出会いから紹介させて頂きます。

 初めてカイザーサウンドの貝崎さんとお会いしたのは5年前、秋葉原のあるオーディオ店の奥の一室でした。そこで彼が主に行っていたのは、PB-REXインシュレーターのデモでした。インシュレーターの上下、前後などの方向が変わると、いかにそれが音に影響を与えるかを力説されていました。そのデモが終わった後少しばかり立ち話になり、その当時私がB&WMTX805の下に使っていたTAOCのスタンドの各部品の方向性を見てくれるということになりました。

 半信半疑で、スタンドを分解し、カイザーサウンドに送ったところ、しばらくして全ての部品について上下、前後、左右の方向を指示して送り返してきました。見たところ天板と底板の上下方向以外はほとんど間違っていたとのこと。早速指定された通り組み直し、805を乗せて鳴らしてみたところ、これが何とビックリ。まるっきり鳴りが違う。伸びやかというのか、屈託が無いというのか、濁りが無いというのか、とにかく見違えるような鳴りっぷりです。


 ビックリして貝崎さんに電話をしたところ、彼が丁寧に説明してくれたのが、「全ての物質には方向性があり、その方向性を全て揃えてあげることで、音は本来のエネルギーと響きを持つ」この第一の衝撃以来、ローゼンクランツとのお付き合いが始まったのですが、見る見るうちにPB-REXを始め、各種ケーブル類など、ローゼンクランツの製品が我がオーディオシステムに組み込まれて行くことになりました。

 しかし中でも忘れられないのが、あのスピーカーアタッチメントの衝撃でしょうか。その日は貝崎さんが東京方面に用事があり、その帰りに川崎の拙宅に試聴に来てくれた時のことです。すでにこの時インシュレーターやケーブル類の多くははローゼンクランツになっており、彼もひとしきり聞いた後、「なかなか気持ち良くなっていますね。」と、こちらの気持ちをほぐしておきながら、おもむろに「今日はこんな物を持ってきました。試してみましょうか?」と取り出されたのがスピーカーアッタチメントでした。

 この製品はカタログにあるのは知っていながらも、多分一生買う必要はないと思っていたものでしたが、聴くのはとりあえずタダだと思い直し、貝崎さんにセットしてもらいました。この時初めてかけた曲は、リンダ・ロンシュタットとアーロン・ネヴィルのデュエット、"Don't Know Much"でしたが、イントロが始まった瞬間からして、もう違っていました。声に実在感がある。そして圧倒的なステージ感。オーディオ的に言えば、情報量とダイナミックレンジの拡大ということなのでしょうが、そんな概念をふっ飛ばしてしまう程の溢れんばかりの音の奔流、生命感が感じられたのです。後でお聞きすると、貝崎さんはこの製品を作りあげるのに、肉体的、精神的にぎりぎりのところまで自分を追いつめられたとのこと。まさに彼の「魂」が凝集した製品なのだと実感しました。


 私が彼に一番共感するのは、良い音を求めるのに、より新しいより高価な機材を買い揃えるのではなく、現有機材の良さを最大限発揮させることが大事であるという、彼の哲学です。このことは、売らんかなのオーディオメーカー、オーディオ店が氾濫するなか、非常に希有で新鮮な指針を示していると思います。イヤな音を消すのではなく、良い音を伸ばすようにしてあげるという方法論は、ローゼンクランツの全ての製品に共通している特徴で、特に私が気に入っていることです。

 さて、「DAIBUTSU」と「LOTUS」です。貝崎さんがこれの開発を始めているということはかなり前から聞いており、今か今かとその完成を待ちわびていたものです。試聴機が到着し、早速愛聴板LPを我が家のSPACEDECKに乗せ、厳かに付属のフェルトでDAIBUTSUの取っ手を持って、静かにLPの上に下ろしました。ゆっくりとターンテーブルに初速を与えると、すぐに回転が安定し出しました。

 SPACEDECKのモーターは回転に必要な最小トルクしかなく、もしかすると余計な荷重がかかると正常に操作しないかもしれないという不安がまずクリアに。慎重に針を落として、リスニングポジションに戻る。さて鳴り出すと、ン、重心が低い。ギターやキックドラムの瞬発力が増している。ボーカルが前に出ている。これはええわい。と思う間に、あっという間にA面が終わってしまい、慌てて立ち上がりB面にかけ直します。気がつくと立て続けに4,5枚のLPを聴き終わっていました。

 その日はとりあえずDAIBUTSUだけ試そう、と思っていたのですが、目の前にあるLOTUSをやはり試さずにおられないのがオーディオファイルの性でしょうか。時間はすでに真夜中近いが、致し方ありません。早速付属のゲージ通りにLOTUSを直接ターンテーブルに置き、LPを乗せ、これを挟み込むような形でDAIBUTSUを置きます。LPが宙に浮いた形になり、何となく心もとない。しかもLPの位置は最初よりかなり上に上がっており、トーンアームも若干傾いていて、何とも不安要素が多い。まあ、とりあえず鳴らしてみようと、針を落としてみます。

 そして、ここで冒頭で述べたトップ3レベルの衝撃に遭遇したのです。情報量とか、Dレンジとか、fレンジとか、そういう分析的な言葉を書き連ねても到底表現し尽くせぬ何かがありました。強いて言えば、幸せな音、とでも言うのでしょうか?それはまさにローゼンクランツの集大成と貝崎さんが語っていらっしゃる通りのものでした。その後、深夜過ぎにトーンアームの高さを調節し直して、LOTUSが我が家のオーディオシステムの定位置を確保したことは言うまでもありません。


 ここまで美辞麗句を並べたように見えるかもしれませんが、全て私が経験した事実です。最後に現在の私の現有機器をご紹介いたします。何かの参考になれば。


Analogue: Space Deck
Ortofon MC30
Benz Micro PP-1
CD: LinnIkemi Pre: Cello Encore 1MΩ
Anniversary Edition,
Power: Ayre VIII-MkII Speaker: ALR Jordan Note 7 Collection


 2度目のクリニック訪問


 M.Hさんとは以上のような形でお付き合いをさせて頂いております。約2ヶ月ほど前に近くにクリニックで行く事がありましたので、そのついでに立ち寄らせて貰いました。この時が2度目の訪問ですが、最初の時とはずいぶんシステムが変わっておりほとんど総入れ替えと言っていいほどです。

 そのシステムの中で私との関係が強いものと言えば、スピーカーのALR JordanNote 7です。これは購入の段階から私に相談があったもので、ローゼンクランツのスペシャルモディファイ仕様でもあります。

 その中身はスピーカーユニットのエネルギーの方向を調整し、なおかつ吸音材も交換しています。その内容はと言いますと、書類裁断機(シュレッダー)で作った細い短冊を複雑に絡めたもので、当然固さや長さによって周波数バランスはとっております。これは私の誇る音質改善ノウハウの一つなのです。

 その音の特徴はと言うと、ローゼンクランツのリファレンススピーカーの音とよく似ております。当然ユニットが同一メーカーですから当たり前の事ではあります。スピード感があってS/Nが良く、特に音離れの良さは特筆に価します。両者の気になるところを強いて挙げるならば、アルミコーンの苦手である潤いやコクに欠けるところでしょうか。

 数年間の間にはインシュレーターに始り、ケーブル、電源タップ、オーディオラックと沢山のローゼンクランツ製品を買って頂いております。ですから、Hさんのそのシステムからはまったく私好みの音がするのです。


 そして、たまたま用意してあったローゼンクランツの最高級ケーブル5EXシリーズのピンケーブルとACケーブルを聴いて貰うことにしました。接続したのはCDプレーヤーです。


 まず初めに、ピンケーブル・・・・・。

 圧倒的に情報量が増え一気にS席に移ったかのようです。

 次は、電源ケーブルです・・・・・。

 まるで、音楽の世界が別物になってしまいました。

 もう言うことなし!。

 Hさんの顔色が変わってしまいました。

 結局帰りがけにその2本のケーブルを、

 『そのまま置いていってください』となった次第です。

 ちなみに、ピンケーブルは360,000円。

 ACケーブルは200,000円です。


 しかし、それは東京試聴室のリファレンスシステムから外してきた物ですから、酷なようですが持って帰らなければなりません。丁重にお断りしてその日は失礼しました。


 ローゼンクランツのケーブルは一番安い1Sシリーズであっても私自身の手作りですから、とにかく時間がかかるのです。結局Hさんのケーブルも注文頂いてから納品までに2ヶ月も掛かってしまったのです。

 そして、今日が納品を兼ねた3度目の訪問になるのですが、前回クリニックでお伺いした近くのY.Tさんを誘ってお邪魔することになりました。Hさんのシステムのセッティングについては申し分ないほどに追い込んでいましたので、する事はほとんどありません。

 ただ、買って頂いた「カイザーゲージ」を使ってスピーカー間の間隔をブルーの「カイザーウェーブ」に合わせて調整した事ぐらいです。しかし、これが相当効きました。その音の感想についてはお二人から頂きましたので、それをご覧頂く事で私の感想は省かせて頂きます。


 良い音 感謝


 ----- Original Message -----
 From: "Y.T"
T o: <M.H>; <info@rosenkranz.com>
 Sent: Wednesday, May 21, 2003 12:05 PM
 Subject: 良い音 感謝


 M.Hさま
 貝崎さま

 こんにちは、麻生区のY.Tです。

 日曜日は、良い音を堪能させて頂きましてありがとうございました。カイザーさんにお誘い頂いて本当に良かったと思いました。

 自然にすっと流れ出てくる音は、おじゃました最初から心地よいものでしたが、5EX(でしたっけ?)の電源をいれ、カイザーゲージで追い込んだ所では全く朗々堂々かつ清々しくも雄々しい音で驚きました。


 Hさんご自身が、気負わずにしっかりと自分の音の方向をみすえて機器を可愛がっていらしたのが、一気に花開いたのだと思います。私はというと、機器もですが、こりゃ聞いている自分の方向性管理?というかチューニングというか・・・が必要かなと思ったり・・(笑)40歳をすぎて不惑どころか、人生もオーディオも混迷の中に突入しています。

 オーディオの方はカイザーさんに出会ったので、色々とお頼りしながらしっかり整理をしていこうと思います。

 今は我が家のシステムは、機器をアップ・グレードしたにも関わらず少々後退している所が耳につきます。あの日は帰宅して少しカイザーゲージで置き直しにかかりましたが、少〜しよくなった程度かな。またカイザーさんに、うまく見直してもらって、音が蘇ってきたらぜひ拙宅にも遊びにおいで頂ければと思います。

 簡略ながら、お礼まで。

 Y.H


 こちらこそ


 ----- Original Message -----
 From: "M.H"
 To: <info@rosenkranz.com>
 Sent: Wednesday, May 21, 2003 10:11 PM
 Subject: こちらこそ


 貝崎さん、

 長いお付き合いになってきましたが、新しい製品をそろえるたび、アドバイスを頂くたび、あるいは実際に来ていただくたびに、私の音も進化して来ました。しかし今回はひとつ突き抜けた感があります。あれから、色々なものをかけまくっておりますが、何を聞いても、今までと数段次元の違う音になってしまいました。

 「惑星」は圧巻だった、とのお言葉ありがとうございます。いつもあそこまで音量を上げて聞くことは滅多にありませんが、ひとつもうるさくなく、ただただ音楽の波にのまれる感覚をはじめて我が家で味わうことが出来ました。


 また楽しいオーディオ仲間をご紹介頂きありがとうございました。早速メールを頂き、今後はオーディオ談義に盛り上がれそうです。

 M.H


 有難うございました


 ----- Original Message -----
 送信者:info@rosenkranz.com
 宛先:"M.H"
 件名:有難うございました
 送信日時:2003年5月21日 1:00:12


 H様

 早速ご入金有難うございました。

 それにしましてもいい音になったですね。

 特に「惑星」は圧巻でした。

 また、我ながらAC-5EX(Perfect)の威力にはびっくりしました。

 帰りの道中でもTさんとそんな話をしておりました。

 彼も根本からクリニックして欲しいと言ってました。

 そう遠くもありませんから、Tさん宅へも行ってみてあげてください。

 カイザーサウンド

 貝崎静雄


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